カラープロダクションプリンタ RICOH Pro C751EX/C651EX
Color Production Printer RICOH Pro C751EX/C651EX
近野 久郎
*前田 雄久
**藤谷 博充
***石橋 均
****津田 清典
*****Hisao CHIKANO Katsuhiko MAEDA Hiromitsu FUJIYA Hitoshi ISHIBASHI Kiyonori TSUDA
川原 真一
*****丹尾 淳
****** Sinichi KAWAHARA Atsushi TANO要 旨
PP事業分野の製品に対する顧客要求としては,オフセット印刷物と同等の画像品質や,連続稼 動を含む高い生産性などがある.カラープロダクションプリンタ RICOH Pro C751EX/C651EXは, それらの要求に答えるため多くの新規技術を搭載し,より高い製品仕様を達成した製品である. 主な新規搭載技術は以下の通り. ・VCSELアレイ光学系 ・現像冷却液冷システム ・ActiveTonerDensityControl ・狭ギャップDC現像 ・循環型TCRU対応設計 ・ノンストップ廃トナー交換 ABSTRACT
Customers in Production Printing market require image quality equivalent to offset printing and high productivity like long run printing for color digital production printer. RICOH Pro C751EX/C651EX is a product that installs many new technologies and achieves their request. Major new technologies are below.
・VCSEL array scanning system
・Liquid cooling system in Development Unit ・Active Toner Density Control
・Narrow gap DC development system ・TCRU recycling design
・Non-stop waste toner bottle replacement
* PP事業本部 CS設計センター
Cut Sheet Designing Center Production Printing Business Group ** MFP事業本部 第三設計センター
3rd Desiging Center, MFP Business Group *** PP事業本部 CS設計センター
Cut Sheet Designing Center Production Printing Business Group **** 画像エンジン開発本部 基盤・制御技術開発センター
Fundamental & Control Technology Center Imaging Engine Development Division ***** 画像エンジン開発本部 モジュール開発センター
Module Development Center Imaging Engine Development Division ****** 画像エンジン開発本部 プラットフォーム開発センター
1.
背景と目的
PP事業分野の製品に対する顧客要求として,オフ セット印刷物と同等の画像品質や,連続稼動を含む高 い生産性などがある.カラープロダクションプリンタ RICOH Pro C751EX/C651EXは,それらの要求に応える ため多くの新規技術を搭載し,より高い製品仕様を達 成した製品である.以下にその主な新規搭載技術につ いて説明する.
2.
製品仕様
Table1にRICOH Pro C751EX/C651EXの主な仕様, Fig1に製品外観を示す.
Table 1 Specification of Pro C751EX/C651EX.
商品名 RICOH Pro C751EX/C651EX
PPM -300gsm:C1a:45,C1b:52220gsm:C1a:65,C1b:75 ウォームアップタイム 300秒以下 生産性 ファーストコピータイム FC 11.0sec,BK 11.0sec 用紙サイズ (書込み領域) ハガキ~13×19.2" (323×480mm) 用紙厚:片面 52.3~300.0gsm 用紙厚:両面 60.0~256.0gsm 用紙対応力 最大給紙量 (80gsm/100μm) 7,000枚/7,700枚 画質 書込み解像度 1200dpi×4800dpi 書出位置補正 メカレジスト機構搭載 表裏差0.5mm以下 位置精度 表裏位置精度 表裏倍率補正機構搭載 用紙毎 条件設定 の利便性 ユーザ設定紙機能搭載 用紙データベース機能搭載 EFI:PaperCatalog連携対応 メンテナンス性 PMユニット交換 お客様にて交換可能 (※1) 耐久性 耐用枚数/年数/Duty 10,800K/5年/350K オペレーション パネルサイズ 10.4inch Color 操作性 動作中のトナー /廃トナー交換 可能/可能 マシン寸法 1,320×910×1,050mm (※1)海外機のみ:トレーニングを受けたお客様を対象 ※手差しトレイ:BY5010,A3LCT:RT5060,紙折りユニット: FD5010,フィニッシャー:SR5040を装着
Fig.1 RICOH Pro C751EX.
3.
製品の特徴
3-1 VCSELアレイ光学系 光源にVCSELアレイを採用することで,40ビーム同 時書き込みによる4800dpi高精度書き込み,業界最高ク ラスの小径ビームスポットの実現,さらにポリゴン モータ低速化によって発熱量を抑え,経時の色ずれを 低減させている. またPP分野では,表裏見当精度,カラーレジスト レーション精度に対する顧客要望が強く,画像品質の 要求も高い.そこで,以下の補正機能を搭載している. 3-1-1 表裏倍率補正機能 主走査方向の補正は書き込みクロック周期を増減さ せ,副走査方向の補正はVCSELアレイによる4800dpi書 き込みを活かした新規技術で実現している.離散的に 画素挿入(拡大)/間引き(縮小)を行うことで局所的 な画像歪みを無くし,画像を劣化させることなく倍率 を補正することを可能にしている. 3-1-2 走査線曲がり・傾き補正機能 光学系の走査線曲がり/傾きを打ち消すように,入力 画像データを4800dpi単位で副走査方向にシフトさせる. また,経時/環境変化により走査線曲がり/傾き量が変化 し,色ずれとなって画像品質を低下させてしまうこと から,カラーレジストレーション補正を行う際に,Blackに対する各色の走査線曲がり/傾き量を検出して 4800dpi単位で補正している.
VCSELアレイ光源
モニタPD
VCSELアレイドライバ
Fig.2 VCSEL array scanning system.
3-1-3 光波形補正機能 VCSELアレイは従来の半導体レーザに比べると駆動 電流に対する応答性が遅いことから,ドット点灯時の 露光量をフォトダイオードで検出して,狙いの露光量 になるようにパルス電流値を補正している.この補正 により,40ビーム全てについて常に狙いの安定した露 光が可能になり,特に孤立ドット/斜め線の再現性を向 上させることが出来ている. 3-2 現像冷却液冷システム
Fig.3 Liquid cooling system in development unit. 大量出力での真の生産性に応えるため,冷却液を本 体内に循環させることで現像剤の温度を一定に保ち, 長時間のマシン安定稼動を実現する,カラープリン ターとしては世界で初めての現像冷却液冷システムを 搭載した. この現像冷却液冷システムの動作原理は自動車エン ジンの冷却などと同じであるが,ひとつ大きく異なる 所がある.それは,発熱体である現像器はメンテナン ス時に本体から取外す必要があるため,現像器と液冷 ジャケット(受熱部)を離間させる必要があるという 点である.また,その離間-接触により,現像器内の 現像ローラと感光体のギャップであるPGに影響を与え ない様にする必要もあった.
Fig.4 Apparatus for attaching (and removing) liquid cooling jacket. この課題に対し,Fig.4に示すように 現像器に係合 する部材(緑)から液冷ジャケットを押す構成とし, 作用反作用による“内部のみの力”で押し当てる事で, PGに影響を与えずに現像器に密着,分離させることを 可能とした.また,剛体同士の密着性,接離を繰り返 すことによる耐久性,離型性のため,現像器と液冷 ジャケット間には極薄PETシートを添付した熱伝導 シートを設けている. これらの構成により,現像剤温度を安定して一定温 度以下にに保つ事が出来,現像剤温度上昇に起因する 障害の発生を防ぎ,長時間の安定稼動により高生産性 を実現した.
3-3 Active Toner Density Control
画像濃度の安定化を実現するため,アクティブト ナ ー 濃 度 コ ン ト ロ ー ル (Active Toner Density Control:ATDC)を採用している.これは,使用され るトナーの量を監視し,画像情報に応じて最適なタイ ミングでトナーを現像ユニット内に補給する方式であ
る.本方式により,大量出力時でもページ内の濃度ム ラを軽減している.
Fig.5 pattern diagrams of ATDC
ATDCでは,印刷によるトナーの消費波形から逆位 相の補給波形を生成し,互いの波形が相殺し合う最適 なタイミングでトナー補給を行うことにより,画像濃 度の安定化(現像器内トナー濃度の均一化)を実現し ている.概念図をFig.6に示す. 時間 トナ ー 濃度 時間 トナ ー 濃度 時間 トナ ー 濃度 印刷による トナーの消費波形 ATDCにより生成された 逆位相波形 ATDCにより 合成された波形 2つの波形を合成し、 トナーの補給量を最適化 時間 トナ ー 濃度 時間 トナ ー 濃度 時間 トナ ー 濃度 印刷による トナーの消費波形 ATDCにより生成された 逆位相波形 ATDCにより 合成された波形 2つの波形を合成し、 トナーの補給量を最適化
Fig.6 conceptual diagram of ATDC
3-4 狭ギャップDC現像 従来機よりも現像ギャップを狭くする(Table.2)こ とで現像電界強度を高め,現像能力の安定性を確保す ると共に,Halo画像※(Fig.7)の低減,文字・細線お よび画像エッジ部のシャープネス向上を実現している. ※Halo画像:ハーフトーン地の上に文字が重なってい るとき等に,文字の上流側のハーフトー ン部が抜ける現象.
Table 2 Photo Conductor Gap & Parts Precision. MF C7501 Pro C651/751EX
現像Gap A(mm) A×0.75(mm)
Fig.7 Halo image.
Fig.8に現像ギャップ狭化によるHalo画像の変化を示 す.現像ギャップを狭くすることで,ベタ画像とハー フトーン画像の境界に生ずる静電潜像の回り込み電界 を低減し,Halo画像を改善している.Fig.9に現像 ギャップのHalo画像への効果を示す.グラフの横軸は 現像剤(キャリア)の電気抵抗特性であり,低抵抗化 による改善も併せて行っている. ベタ ハーフトーン 現像ローラ 感光体ドラム 現像ギャップ ベタ ハーフトーン 現像ローラ 感光体ドラム 現像ギャップ
Fig.8 Mechanism of the Halo.
狭ギャップ現像を実現するために,現像ローラの高 精度化に加え,現像ローラ表面の新規加工技術と高精 度ドクターブレードにより現像剤搬送性の安定化を 図っている.また,高精度厚肉素管を採用した新規感 光体ドラムの他,現像ギャップを高精度に保つメカ部 品構成によって,面内の画像濃度均一性も向上させて いる.
Halo評価値 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 10 11 12 13 14 15 16 静抵抗(log[Ω・cm]) ラン ク 現像Gap : A×0.67 現像Gap : A×0.75 現像Gap : A×0.83 現像Gap : A MF C75 01 Pro C651/ 751EX ①PG峡化 ②低抵抗化 低 高 Halo評価値 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 10 11 12 13 14 15 16 静抵抗(log[Ω・cm]) ラン ク 現像Gap : A×0.67 現像Gap : A×0.75 現像Gap : A×0.83 現像Gap : A MF C75 01 Pro C651/ 751EX ①PG峡化 ②低抵抗化 低 高
Fig.9 Rank of the Halo.
3-5 循環型TCRUサービス方式と対応設計
TCRU(Trained Customers Replaceable Unit)サービ ス方式とは,リコーのトレーニングを受けたお客様を 専任オペレーターとして,お客様自らメンテナンスを 可能にするサービス方式である. 従来は寿命や故障の度にカスタマーエンジニア (CE)の訪問を待たなければならなかったが,TCRU サービス方式の採用により,お客様先にストックして いたユニットをお客様により交換して頂くことで機械 を復帰させることができるようになり,機械のダウン タイムを低減することが可能となった. 今回,寿命により交換されたユニットを再生拠点 (工場)に回収し,清掃,寿命部品の交換,調整を行 ない,新品と同品質に再生しお客様へ再提供する,循 環型TCRUサービス方式を新たに構築した. ここでは,寿命部品以外の部品にも独自の再生基準 を設けチェックを行い,品質と省資源の両立を図って いる.
Table 3 TCRU units.
場所 TCRU対象ユニット 循環型TCRU対象ユニット 感光体クリーニングユニット ○ 帯電ユニット × PCDUs 感光体ユニット × 中間転写ベルトクリーニングユニット ○ 転写 転写ユニット ○ 定着ユニット × 定着 定着クリーニングユニット ○ 給紙 給紙コロ × 一方設計的な配慮としては,お客様が対象ユニット へ容易にアクションしやすいよう,レバー,デカル等 に専用色を使用し,視認性,操作性を高めている.ま た,ユニットの着脱が容易性な様に,専用治具(ネジ 回し)によるTCRUネジの着脱と,レバー操作でユ ニットの着脱が簡単に行なえる操作性を実現した. 3-6 ノンストップ廃トナーボトル交換 連続出力作業を中断することなく機械のダウンタイ ムを減らすため,今回 コピー/プリント動作中に廃ト ナーボトルが満杯になった場合でも,マシンを止める ことなく廃トナーボトル交換が行える機能を搭載した. 廃トナーは,各色の作像Mdから排出される廃現像剤 /廃トナーと,中間転写ベルトクリーニングより排出さ れる廃トナーと,転写ローラクリーニングより排出さ れる廃トナーが合流して搬送される.なお,一時貯留 部から廃トナーボトルへの搬送駆動と,廃トナー経路 から一時貯留部への搬送駆動とは独立に設けられてい る.(Fig.10)
コピー/プリント動作中に廃トナーボトルを交換しよ うとすると,ノンストップ廃トナーボトル交換モード に入る.ノンストップ廃トナーボトル交換モードでは, 廃トナー一時貯留部から廃トナーボトルへの搬送駆動 が停止する.一方,廃トナー経路から一時貯留部への 搬送駆動は通常通り動作を続けるため,廃トナーは一 時貯留部に貯留される.そのため,コピー/プリント動 作を継続させることができる. ノンストップ廃トナーボトル交換モードに入ってか ら一定時間内に廃トナーボトルが交換されれば,コ ピー/プリント動作が停止することはなく,その時間を 経過すると,マシンは機内の紙を排出したタイミング で停止し,廃トナーボトルのセットを促すメッセージ が操作画面に表示される.